87年「独眼竜政宗」からの5年間は大河の黄金時代と言うべき佳作がそろってますが、92年以降は大河迷走の時代と言っていいでしょう。

先ずは92年「信長」、主役の信長に緒形直人はいいとしても秀吉に仲村トオル、家康に郷ひろみとはこれいかに。
明智光秀にはマイケル富岡なんてのも理解に苦しみました。
まあ、配役はイマイチでしたがポルトガルの宣教師:ルイス・フロイスの視点で信長を描くという発想には異存はありませんでした。
このルイス・フロイスという人、私の印象では幕末に日本にやって来たイギリスの外交官:アーネスト・サトウとキャラが似ていると思ってます。
どちらも日本が好きで心身ともに同化している外国人として、とても好意がもてます。

次の93年前半「琉球の風」というやつも、よう分からん作品でした。
放送期間も大河としては異例の半年間。1年も続けるネタが無かったのが実情でしょうかね。
66年「源義経」の尾上菊之助と藤純子が話題集めで共演したくらいが目玉でした。

93年後半「炎立つ」は「琉球の風」の低視聴率を引きずっての7月スタートで最初からハンデがありました。
それでも個人的には今まで歴史の表舞台に出てこなかった東北の阿倍氏や清原氏そして藤原氏のことがよく分かり、参考になった作品でした。
昨年、奥州平泉に立ち寄った際に中尊寺の近くに「藤原歴史館」というところがありました。
奥州藤原氏の開祖:藤原経清(渡辺謙)がノコギリ轢き(わざと切れない刀でジワジワと首を斬るという残酷な処刑)シーンが蝋人形で再現されていました。
実際に大河で観た時は、渡辺謙さんがとっても痛そうで涙を流しながら死んで行ったのよく覚えています。
ショッキングな場面なのですが、なんか懐かしいような感情が起きたものでした。

この辺の話題、次回も続きます。
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2000年代の大河は大作と言われたり、佳作と言われる作品がなかったような気がします。
その中で作品の個性としては「新選組!」あたりは、かなりインパクトがありました。
土方役の山本耕史さんや山南役の堺雅人さんは、雰囲気や力量を感じさせる俳優で、その後人気が出ました。

堺雅人さん、08年「篤姫」でも13代将軍:徳川家定役を飄々とした演技で怪演し、実力を発揮しました。
役者がうまいと、いろんな味付けができるんですね。

06年「功名が辻」なんか久ぶりに司馬遼太郎の原作で期待していたのですが、
なんか「利家とまつ」の二番煎じみたいで期待はずれでしたね。
まつ と同様に千代がなんもかんも解決しちゃうから、拍子抜けでした。
いくら戦国三賢夫人の一人でも、そうそう歴史は動かせませんぜ。
(ちなみに戦国三賢夫人とは秀吉夫人:おね、利家夫人:まつ、山内一豊夫人:千代、のことです。)
もう1つちなみに「千代」の名称は司馬遼太郎の創作で、どう呼ばれていたかは不明とのこと。

まあ、それくらい秀吉、利家に比べて山内一豊は小粒ですから、やや物足りないのも仕方ないかも。
まだ一豊は国持ち大名になりましたが、大名である上杉の陪臣(家来)である直江兼続を主役に持ってきた「天地人」は、
さらに盛り上がりに欠けるのは当然と言えば当然か。

こういう風に小物のヒーローを描く時は成功談や出世物語にするのではなく、
アンチヒーローやダーティヒーローまたは悲劇的な最後を持ってくるのが鉄則なのですがねえ。
「樅の木は残った」の原田甲斐や「風と雲と虹と」の平将門なんかよかったですよ~。
「炎立つ」の藤原泰衡や「花の乱」の日野富子でアンチヒーロー物はズッコケたので、
NHKもやや消極的になっているのかもね。
プロフィールにも書いてますとうり小学生の時に大河第1作「花の生涯」を観てはまった私ですが、
大河と言うと豪華絢爛・時代絵巻という風に極彩色のセットで重厚な俳優たちがダイナミックに演技するイメージを持っていました。
ところが2000年代に入ると、NHKの予算の都合上かどうも小粒の作品になってきましたね。

私のイメージからする大河らしい大河は2000年の「葵徳川三代」が最後のような気がします。
出演者も家康に津川雅彦さん、秀忠に西田敏行さん、三成に江守徹さんという主役級を配してました。
また女優陣も来年の主役である お江に岩下志麻さん、淀殿には小川真由美さんと艶やかでした。
関ヶ原の合戦などは、どれほど金がかかったのだろかと思うほど人・馬・装備が充実してましたね。
もはやこんなスケールの大河は望むべくもないのでありましょうか。

それ以降「北条時宗」から今年の「龍馬伝」まで観続けていますが、私が一番面白く感じたのは02年「利家とまつ」です。
端的に言いますが、戦国物が成功するかしないかは秀吉に誰を充てるかにかかっていると思います。
つまり戦国絵巻のキーパーソンは豊臣秀吉です。どんな話であっても千両役者の秀吉が出てこないと盛り上がらんのですね。
そんな人周りにもいますよね。

「利家とまつ」の時は、秀吉は「龍馬伝」の岩崎弥太郎役でもある名優:香川照之さんでした。
私が香川さんを始めて大河で観たのは89年「春日局」の小早川秀秋役でした。
いかにも秀秋らしい小粒の人物風でしたね。
浜木綿子さんと市川猿之助さんの子供で東大出ということで、どうせ親の七光り俳優だと思って観てました。
でも努力したのですね。こんな立派な俳優さんになるとは御見それしました。

反面一番面白くなかったのが、その翌年03年「武蔵」でしたね。
主役の海老蔵という素材は良かったのにストーリーや脚本が彼を生かしきれませんでした。
まあ「武蔵」の話だけで1年間持たすにはちーとシンドイでしょうね。

この話題次回も続けたいと思いますが、ひとまずはこの辺で。
2010.10.10 秀吉の手紙
先日のNHK「歴史ヒストリア」で秀吉の手紙について考察していました。
その中で秀吉の相手を口説くテクニックとして3つのことを上げていました。

①自筆の手紙であることをにじませ、誠意を相手に伝える。
②自分の正当性を声を大にして強調する。
③時には、はったりやウソも方便として使う。

司馬遼太郎さんも秀吉と龍馬の手紙には人間性が出ていて、
歴史上の人物の中でこの二人が際立って面白い手紙を残しているとの評価でした。
そういえば、龍馬の手紙も図解入りで当時の常識からは外れているがとても愉快です。

こういうヒューマン系の対処法は科学技術と違い、現代にも十分に通用するテクニックではないでしょうか。
最近DVDで観ている「武田信玄」の中にも人事の達人らしい信玄語録が出てきています。
妙に納得しているのが、この言葉。
「人を用いるに、人を使うべからず。その業(わざ)を使うべし。」

つまり、人物の良し悪しや好き嫌いで使うな。その能力や才能を使え。
ということでありましょう。さすが武田信玄!


さて、本日から左側のリンクのところに「もののふ紀行」というブログにリンクを貼らせてもらいました。
私と同時期にブログを開始された「Å☆六文銭」さんという方のブログなのですが、
戦国時代や幕末を中心に歴史への造詣がとても深く、感服してみています。
写真や地図を載せて、読者に分かり易く書かれているスタイルは見事なものです。
お勧めです。ぜひ、ご参照下さい!
2010.10.03 中井貴一
レンタルDVDで観ている「武田信玄」もすでに終盤になりました。
そろそろ最後の死を賭した京への遠征が始まります。
主役の中井貴一さんもすっかり晩年の信玄風が板につき、セリフに重みがあります。
1年で役者さんが大きく成長しているのが観ていてよく分かります。

87年「独眼竜政宗」から88年「武田信玄」、89年「春日局」、90年「翔ぶが如く」、91年「太平記」が
大河の黄金時代であったと、以前記述したことがあります。
この中で、政宗役の渡辺謙さん、信玄役の中井貴一さん、尊氏役の真田広之さんはいづれも現在50歳前後。
大河の主役を射止めた当時は、全員30歳前後だったのではないでしょうか。
このくらいの年齢で大河の主役に抜擢されるのが、役者として大きな飛躍の可能な時期だと言えます。

渡辺謙さんは、その後93年の「炎立つ」でも主役となり、2001年「北条時宗」では時宗の父:時頼を演じ貫禄を感じさせました。

真田広之さんの方は、大河の主役という重々しさよりも弱気な人物の方がマッチするようで、
その後は96年「秀吉」の石田三成役しか登場がなく、あまり大河の役に恵まれていませんね。

中井貴一さんもその後は信玄ほどの迫力を感じさせる役はありませんが、2005年「義経」では源氏の御曹司らしいサラッとした頼朝の雰囲気が出てました。
どうでしょうか。もう1度戦国物で晩年の信玄役をやってもらったら結構盛り上がると思いますよ。
「武田信玄」の時は法名を名乗りながら剃髪姿ではなかったので、その際にはぜひ剃髪の信玄でお願いします。