2010
02.28

悪役列伝5:薩摩藩士

Category: 悪役
前回までの悪役は、政権を維持するためとかのそれなりの大義があることで
まだ許せる範囲でしたが、今回の悪役は個人的な恨みや私利私欲のレベルで
断じて許すことができない人物です。(あくまで物語上の話です。)
ちなみに時代は全て幕末から明治維新にかけてです。

先ずは77年「花神」の海江田信義。演じてたのは中丸忠雄さん。
大村益次郎のぞんざいな言い方も良くなかったのですが、戊辰戦争における
参謀としての立場をコケにされたことを根に持っていました。
周囲の人間には「殺してやりたい」などと言うなどしていましたが、
ついに明治2年、彼にそそのかれた暗殺者に斬られた益次郎は
その傷が元で大坂にて死んでしまいます。
そんな非道な海江田ですが、維新の功績でちゃっかり子爵になってます。
こういう勝てば官軍的な褒章は許せませんね。

次は80年「獅子の時代」の尾関平吉。演じていたのは岡本信人さん。
この作品は架空の会津藩士(菅原文太)や薩摩藩士(加藤剛)を主役として
敗者の側から見た明治維新という、今までに無い意欲作であります。
この尾関平吉という薩摩藩士も架空の人物です。
そこそこ有能なのですが、勝者側の驕りや出世欲金銭欲の強さが全面に出てきます。
この元会津藩士(菅原文太)を事ある毎に陥れ、罪をなすりつけます。
その度に加藤剛さんが助けるという展開でした。
やっぱりこいつも相当イヤなヤツでしたね。

最後は90年「翔ぶが如く」の島津久光。演じていたのは高橋英樹さん。
この時、島津斉彬を演じていたのは加山雄三さん。英明な感じがピッタリでした。
久光役の高橋さん、08年「篤姫」ではなんと斉彬役でしたね。
いろんな役が演じられる役者さんもシアワセですね。

ところでこの久光も主役の西郷をとことんイジメるイヤなヤツでした。
ホント底意地が悪いというか、西郷も口が過ぎるというか。
せっかく島流しから帰ってこれたのに、主人の久光に対して
「ジゴロ(鹿児島弁で田舎もん)だから中央へ出て行っても通用しない。」と
はっきり言い切っちゃうのです。あー見てられん。
この二人相当相性が悪いよ。大久保がいたのでなんとか収まっていました。

この薩摩悪役3人衆の共通点は、いづれも頑迷で権力欲が強いところでしょうか。
同じ倒幕側でも長州にはあまりいないタイプばかりですから、
要するに西郷さんの指摘するとおり皆さん「ジゴロ」なんでしょうね。


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2010
02.25

悪役列伝4:北条義時

Category: 悪役
今宵は昨日の太閤秀吉には及ばないまでも同じように
物語の前半と後半ではガラッと豹変した79年「草燃える」の
鎌倉幕府2代執権:北条義時をご紹介しましょう。

この「草燃える」ですが、名作と言われながらも全部の放送回が
NHKに残っておらず、DVDで再度見られないのが残念な作品です。
しかし、最近になってビデオで録画していた人が見つかり、
NHKに残っている分と合わせて、全編が復活できたそうです。
近いうちにDVDでレンタルできるようになればいいですね。

北条義時を演じていたのは今をときめくマツケンこと松平健さん。
通して見ていて、これほどの大物俳優になるとは思いませんでした。
若い時の純粋で一本気な武者ぶりが、前半の主役:源頼朝(石坂浩二)が死ぬと
ライバルである鎌倉の有力御家人を次々と陰謀で抹殺して行くのです。

そしてついには姉:北条政子(岩下志麻)と結託して、父である初代執権:北条時政
までも追放するのです。
この時政を演じていたのが、情けない殿様役が似合う金田龍之介さんです。

一応表の主役は頼朝と政子の夫婦でしたが、裏の主役はこの義時だったように
私自身は感じていましたね。
前年の「黄金の日日」の太閤秀吉の豹変ぶりが意外にウケたので、
この作品でも、その役目を義時にさせたのですが、2匹目のドジョウがいましたよ。

義時は鎌倉幕府における北条氏の勢力を確立した人物なのですが、
権力の絶頂期になぜか急死していて、死因もはっきりしていません。
今となっては、その墓も特定できずに謎めいた最後となっています。
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2010
02.25

悪役列伝3:太閤秀吉

Category: 悪役
先ずは「黄金の日日」のオープニングテーマをお聞き下さい。
ここをクリック⇒ 黄金の日日

このブログのタイトルとして、また焼肉のタレにも使われた「黄金の日日」。
覚えておいででしょうか?
この大河の直後にエバラ食品から売り出された焼肉のタレ「黄金の味」。
ロングセラーですね。いまでも我が家では使っています。

この作品の醍醐味は、65年「太閤記」の信長(高橋幸治)と秀吉(緒形拳)が
再度登場したことです。
なつかしかったですね。中学2年だった私も20代後半になっておりました。
物語の前半は「太閤記」のままの秀吉でした。
主役の助佐(市川染五郎)といろいろな場面で遭遇し、可愛がったり助けたりして、
善良な人のいい秀吉像でした。

ところが、「本能寺の変」以降天下人の道を歩み始めると権力欲むき出しに
豹変するのです。
この作品の成功は、秀吉を徹底的に悪役に仕立てた市川森一の脚本と
緒形拳の熱演によるものだと思います。

物語の終盤で、死期の近づいた秀吉が「話がある。」と言って助佐を大坂城に
呼びつけます。自分の余命が残り少なくなったのを自覚して、
今までは対立していた助佐との関係を修復するのかなと見ていると、
ある1枚の書付を渡すのです。
そこにはなんと、「国外へ追放す 大こう」と書いてあるのでした。
病人の乱れた筆で「大こう」と書いてあったのが、妙にリアル。
そして左手だけで、あっちへ行けと手を振るのが最後の対面でした。

助佐と堺という商人の町をイジメ抜き、恐怖のどん底に叩き落す「悪の権化」太閤秀吉。
大河史上最強最悪の悪役だったと断言できます。
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2010
02.23

悪役列伝2:後白河法皇

Category: 悪役
今宵は源頼朝に「日本一の大天狗」と言われた後白河法皇について。
かなり異色の天皇だったようですね。現代的に言えば遊び人。
本来が天皇になるような順番ではなかったので、
無責任に遊興にふける青春時代を送り、度胸と駆け引きを学んだのでしょう。
人の心の急所は押さえていても、見識とか信念といったものは感じませんね。

いつものように歴代の作品で演じた人は、
①72年『新・平家物語』~滝沢修
②79年『草燃える』~尾上松緑
③93年『炎立つ』~中尾彬
④05年『義経』~平幹二朗
どうです、吉良上野介や井伊直弼役クラスの立派な「悪役」でしょ。

大河を中心にみると悪役のパターンは朝廷の権力者が多いですね。
伝統や格式の力で新興の勢力(だいたいこれが主役)を手なずけたり
陥れたりします。この旧勢力の代表みたいのが後白河法皇かな。

ある時は平家を支持し、次は源氏。源氏の中でも義仲⇒義経⇒頼朝と
順次乗り換えて行きます。
義経なんか手のひらで踊らされ可愛そうです。
頼朝追討の院宣を出した後で、衣川で義経が討たれるとあわてて
頼朝に義経追討の院宣を出したりする節操のなさです。
まあ見識はないですが、政治的バランス感覚は抜群だったのでしょう。

ともあれ、このように政権に意欲を燃やすようなエネルギッシュな天皇は、
この時代以降あまり出なくなりましたが、「悪役」としての輝きは
何といっても金メダル並みでしたね。
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2010
02.22

悪役列伝1:井伊直弼

Category: 悪役
今日からは新しいシリーズで、強烈なインパクトをもった悪役の思い出などを。
最初は大河の記念すべき第1作「花の生涯」から井伊直弼を取り上げます。

いつものように歴代の演技者を
①63年「花の生涯」~尾上松緑
②90年「翔ぶが如く」~神山繁
③98年「徳川慶喜」~杉良太郎
④08年「篤姫」~中村梅雀

皆さん、貫禄がありますね。
肖像画などを見ると、やはり尾上松緑さんが一番似ているかな。
でも当時は子供だったので、あまりよく覚えていません。
なんとなく貫禄があって、怖そうで、一人で幕府を背負っていた
という印象がありました。

尊皇攘夷派の志士たちから「赤鬼」と恐れられたイメージからすると
「徳川慶喜」の杉良太郎さんなんかピッタリでしたね。
メイクも肖像画のように顔に陰影をつけて迫力満点。
見るからに押しが強くイヤな野郎という雰囲気で、演じる杉さん気持ちよかったかも。

最近では「篤姫」の中村梅雀さんは結構がんばって頑固な中年オヤジという
嫌味を出していたのですが、「桜田門外」の直前で篤姫と心を通じたりして
結局いい人になってから殺されちゃったのです。
やっぱり、井伊直弼は最後まで悪役じゃないと討幕派の立つ瀬がありません。

最近の大河はダーティヒーローを「最後はあいつもいいヤツだった。」風に
丸くまとめる方向があるので、厳しくチェックして行かんといけませんね。
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